No.1 『消費税のインボイス制度について①』
No.1 『消費税のインボイス制度について①』
こんにちは。
税理士の坂井桂之介です。
この度、dailyコラムを配信していくことにいたしました。
今後どのような形で、どのくらいの頻度で配信するかは
まだ検討中の段階ではございますが、まずは試験的に配信していきたいと考えています。
有益な情報を提供できるようにしていきたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。
まずは、直近の話である「消費税のインボイス制度」と「電子帳簿保存法」のあたりから
スタートしていきたいと思います。
本日は、『消費税のインボイス制度について』です。
それではいきましょう。
↓
~Daily Column~
『消費税のインボイス制度について①』
消費税のインボイス制度(適格請求書保存方式)は、2023年(令和5年)10月1日から
導入される、新しい消費税の仕入税額控除(消費税をマイナスできるもの)の制度です。
この制度がどういうものかを端的にいうと、
「適格請求書発行事業者(税務署に登録した事業者)の発行した請求書でないと、
請求書をもらった側(相手方、いわゆる支払側)は消費税の仕入税額控除が出来ない(※経過措置あり)」
というものです。
※経過措置
2023年10月1日~2026年9月30日(3年):税額控除のうち80%控除可能
2026年10月1日~2029年9月30日(3年):税額控除のうち50%控除可能
2029年10月1日~:控除不可
すなわち、適格請求書発行事業者の登録をしないまま請求書を発行してしまうと、
相手側の消費税に不利益が生じる可能性が出てくるということです。
では、単純にその適格請求書発行事業者の登録をすれば良いじゃないか?
と思うかもしれませんが、事業者によっては単純な問題ではとはならない可能性があります。
それは、
”適格請求書発行事業者になる=消費税の課税事業者(納税義務アリ)になる”
だからです。
ケース別にみていきます。
2023年(令和5年)10月1日以降、
①間違いなく消費税の課税事業者(2年前の売上が1000万円超)
②間違いなく消費税の免税事業者(2年前の売上が1000万円未満)
③わからない
です。
それぞれ見ていきます。
①消費税の課税事業者
この場合でしたら、適格請求書発行事業者の手続きをとるべき事業者なので、
特段問題なく登録をすれば良いです。
②消費税の免税事業者
この場合、適格請求書発行事業者の手続きをとってしまうと、
例外なく、消費税の課税事業者になってしまい、今まで納めるべきでは無かった消費税を
納めることとなってしまいます。
かといって、もし適格請求書発行事業者の手続きをしないと、
相手方は消費税の仕入税額控除ができないといったことや、
さらには売上が1000万円未満というところの足元を見られてしまい、
最悪取引をお断りされてしまうなど、不利益もそこにはあります。
とるべき選択肢とまとめると
(i) 適格請求書発行事業者となり、消費税の納税をする。
(ii) 適格請求書発行事業者にはならず、相手先にその旨の話をするなどして、消費税の納税をしない。
といったところです。
おのおのの状況で判断ということとなります。
③わからない
2021年(令和3年)10月末以降の決算をしないと、わからない事業者もおられると思います。
適格請求書発行事業者の申請期限は、2023年(令和5年)3月31日となりますので、
そのときまでに検討して実施するのが良いかと思います。
特に、今まで消費税の免税事業者だった方や、課税事業者と免税事業者を行き来している方の場合は、
要検討といったところです。
(続く)