No.3 『消費税のインボイス制度について③(支払側の処理)』
No.3 『消費税のインボイス制度について③(支払側の処理)』
こんにちは。
税理士の坂井桂之介です。
引き続き消費税のインボイス制度についての話です。
今回は、適格請求書をもらった側、すなわち支払い側の話となります。
それでは、いきましょう。
~Daily Column~
『消費税のインボイス制度について③(支払側の処理)』
まず、今回のポイントです。
<ポイント>
①適格請求書ではない請求書に含まれる消費税は、消費税の納税額からマイナスできない ※経過措置あり
②経理処理では、適格請求書とそうでない請求書で処理が異なる
③個人の方への外注費の支払がある場合には、注意が必要
①適格請求書ではない請求書に含まれる消費税は、消費税の納税額からマイナスできない ※経過措置あり
2023年(令和5年)10月1日からはじまるインボイス制度においては、
適格請求書ではない請求書に含まれる消費税は、消費税の納税額からマイナスできなくなります。
消費税を納める事業者の場合、
支払金額に含まれる消費税は、消費税申告においては、税額をマイナスできるものです。
例えば、110,000円(税込)に含まれる消費税(10%の場合)は、10,000円ですが、
消費税申告ではこの10,000円分消費税をマイナスにできます。
しかし、インボイス制度では、適格請求書でない請求書の場合は、
この10,000円をマイナスできなくなるということです。
ただし、制度導入後に急にマイナスできなくなることを回避するため、
下記の経過措置があります。これにより、当初6年間は一定割合はマイナスにできることとなります。
<経過措置>
2023年10月1日~2026年9月30日(3年):80%控除可能 (例:10,000円×80%=8,000円)
2026年10月1日~2029年9月30日(3年):50%控除可能 (例:10,000円×50%=5,000円)
2029年10月1日~:控除不可 (例:10,000円×0%=0円)
※但し、消費税の簡易課税制度を選択している場合は、
そもそも支払の消費税は関係ないため、
消費税のマイナスという考えはありません。
②経理処理では、適格請求書とそうでない請求書で処理が異なる
上記により、適格請求書とそうでない請求書では処理が異なることとなります。
経理処理をする場合は、
適格なのかそうでないのかを確認 → それぞれに応じた消費税の課税区分を計上の必要あり
となります。
先の話ではありますが、手間が増えることとなります。
詳細の経理方法は、直前になったとき話が出来ればと思います。
③個人の方への外注費の支払がある場合には、注意が必要
個人の方に外注・業務委託を依頼する場合に、その方が適格請求書発行事業者ではない
可能性は充分にあります。
もし話ができるのであれば、請求書に記載の消費税の取扱い等について、申し合わせをするのも良いかと思います。
消費税のインボイス制度はまだ先の話になりますので、
また直前になったときに話が出来ればと思います。
ただ、申請自体が、10月1日から既に開始しており、
対応は随時すすめていきたいと思います。
特に消費税の納める必要のない免税事業者については、
申請するかしないかを判断する必要もありますので、
その際は、個別にご対応が出来ればと思います。